【カモテス旅行②】不毛な散歩とカモテスの少年

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こちらの続き。

【カモテス島旅行①】ダナウのトライシクル親子

 

カモテス島旅行2日目。

 

夜、宿に帰ってきてから「まさか・・」と思う場面はあった。

部屋にあったはずのコップがなくなっていたり、寝ている時にドアの閉まる音がしたりしていたから。

だぶん気のせいだろうと思っていたが、朝9時頃、疑心が確信に変わった。

 

ガチャッ…

 

初老のおじいさんが普通に鍵をあけて部屋に入ってきたのだ。

 

・・・えええ?

 

おじさんは上裸で寝ている僕をみるなり、

 

Oh. Sorry.

 

とダンディな声でつぶやき、何事もなかったかのように部屋の鍵を閉め出ていった。

 

 

どうやら、この部屋は家主に自由に出入りされていたらしい。なぜこの部屋に用があったのかは定かでないが、たぶんフォータークーラーか便所を利用しにきたのだろう。

 

他人が部屋に入ることなどまるで想定していなかった僕は、一眼レフカメラやノートPC等高価なものを部屋中に解き放っていた。

何か盗まれているんじゃないかと焦りに焦り、おじさんが出て行ったあと一目散に荷物を調べたが、どうやら何も盗られていないようだった。

 

ひとまず安心したが、どうにもこの宿にとどまるのは気持ちが悪い。船が出る予定時刻まではまだ時間があったが、早いとこおいとますることにした。

 

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幸先の悪い船出

昨日、例のトライシクル親子に船の時間を確認し、11時半にダナオからカモテスへ向けて出発する船があると聞いていた。僕はその情報を信じ切っていたが、これが間違いだった。

身支度を済ませ、近くをちょうどよく走っていたトライシクルを捕まえて港へと向かい、10時半頃にチケット売り場に着いた。

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「カモテス島へ行きたいのですが。」

 

受付の若いお姉さんに話しかけると、怪訝な顔をされた。聞くと、次の船は午後1時だという。

 

あれ?11時半の船があるはずじゃ…

 

チケット売り場の脇にある時刻表に目をやると、次の船の出発時刻は確かに午後1時と書いてある。

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やっぱり、あのトライシクルの運転手の言うことなんて信じるべきじゃなかった…。自分の目でこの時刻表を見にきておけば、こんなことにはならなかったのに。おかげで、カモテス島へ到着する時刻は4時過ぎになってしまった。

 

自分の詰めの甘さをのろいながら、近くにあったジョリビーで30ペソ(70円)のソフトドリンクを頼み、本を読んで時間をつぶした。

 

この時僕が持っていっていた本は、パウロ・コエーリョの「ベロニカは死ぬことにした」。以前、同著者の「アルケミスト」を読んでファンになり、他の作品も興味が湧いたため半年ほど前にAmazonで購入した。

この人の書いた本からは、一貫して「自分の心の声に従って、生きたいように生きよ」というメッセージが伝わってきて、なんだか読んでいて励まされる。僕はいろんな人の反対を押し切ってセブ島でのインターンを決めてしまったが、当時迷っていた僕の背中を押してくれたのも、この人の本だった。

 

カモテス島到着

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午後1時前、無事船へと乗り込み、3時間弱で無事カモテス島に到着した。チケット代100ペソ=230円。

 

船を降りた所でトライシクルの運転手がたむろしていたので、その集団に安宿を知らないか聞いてみた。すると、すぐ近くに400ペソの宿があり、そこへ連れていってくれるという。

ダナオでの教訓を活かし、トライシクルに乗り込む前にいくらで連れて行ってくれるか聞くと、「10ペソでいいよ」とあっさり答えてくれた。

 

カモテス島の宿泊場所

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案内されたのは「CAMOTES SEAVIEW PENSION HOUSE」。中に入ると50歳くらいの人の良さそうなおばさんが400ペソ(900円)の部屋へ案内してくれた。

冷房はなく錆びた扇風機があるのみで、便所は共同でシャワーもない。なかなかのロークオリティだが、そのくたびれた雰囲気がなんだか気に入り、カモテスの夜はここに泊まることにした。

この宿の目の前に立派なホテルがあり、そちらは一泊1000ペソ=2300円するらしい。日本の相場と比べればそれでも格安だが、カモテス島の住民からするとそんな高いホテルに泊まる観光客はとてつもない金持ちに写るようだ。トライシクルの運転手が、「こんな高いホテル、誰が泊まるんだろうね」と首を横に振っていた。

 

英語の話せないフィリピン人

カモテス島の住民は英語が話せる人が少ない。英語が多少話せる人も、セブシティの人たちと比べると訛りが強く、知っている語彙にも限りがあるようだ。

僕はてっきりフィリピン人はみんな英語が堪能だとばかり考えていたが、地方の人たちはそうでもないらしい。カモテス島が海で隔たれているということも関係しているのかもしれない。

 

「今から観光にいきたいんだけど、どこかいいとこ知ってる?」

とおばさんに聞くと、「さぁ。適当に歩いたら?」と言われた。そ、そんな。

 

もう少し有益な情報がほしかったが、最近運動不足気味だったこともあり、とりあえず言われた通りひたすら道を歩いてみることにした。

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リュックサックを部屋に置き、宿を出て左手に伸びていた道をてくてくと歩いていく。歩いていると老若男女の住民と目が合った。日本人が村を歩いているのが珍しいらしく、みんな僕の顔をジロジロとみてくる。こちらから笑いかけると、向こうも「Good evening」といいながら笑い返してくれる。

平和な村だ。

途中、学校帰りの子ども達と横をすれ違った。子どもは特に僕を珍しがって、照れながら僕に挨拶してくる。僕が挨拶しかえすと、きゃーっといって逃げていく。

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さらに歩いていくと、一人の男の子が僕の後ろをついてきた。どうやら帰り道が同じ方向らしい。程なくして僕に話しかけてきた。セブアノ語(タガログ?)で。

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セブ島にきてから、僕に英語以外で話しかけてきたのはこの子が初めてだった。何言っているかまったくわからないが、とりあえず日本語で返事をするとまたセブアノ語で話しかけてくる。

お互い何を言っているか一切理解していなかったが、その意味不明なやり取りがなんだか面白くて、その男の子が家に着くまで会話(?)が途切れることはなかった。

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2時間ほどふらふらと歩き、疲れたころに宿の近くにあった食堂で晩ご飯を済ませ(60ペソ=140円)、ビールを1リットル買って宿に戻った。(75ペソ=170円)

 

宿のベッドに横になりビールを飲みながら、日本にいたころMacBookに入れた映画「シンデレラマン」を見て家族を守る父親の姿に感動して号泣し、気がついたらそのまま寝てしまった。

 

カモテスの3人組

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夜11時過ぎ、外から聴こえてくる男達の話し声で目が覚めた。扇風機はまわっていたものの、室内はひどく蒸し暑い。

 

外の空気を吸いにベランダに出て、そこに置いてあったイスに腰掛けてぼんやりしていると、不意に下にいた3人組に声をかけられた。

「ビール飲む?」

 

なんとなく人と話したい気分だったので喜んで下の階にいき、促されるままイスに座った。

すでにぬるくなったレッドホースが注がれたコップをもらい、それを一気に飲み干したあと、簡単な自己紹介が始まった。

1人はこの宿で働いている青年。あと2人は某大手外資企業のエージェントとしてカモテスに来ていて、明日の夕方5時の便でセブ島のダナウへ帰るらしい。日本人である僕がやはり珍しいらしく、話題は自然と日本のことになっていった。

日本のアニメ人気はやはり健在で、ドラゴンボール、ワンピース、ナルトなど、日本でも有名なアニメのタイトルを挙げては、あーあれ面白いよね、と中身のない会話が続く。

セブ島で一番人気のスポーツはバスケットボールであることから、やはりスラムダンクの人気は高いらしいのだが、ここで予想外なことを聞かれた。

 

「桜木花道って、実在するんだろ?」

 

え?

 

「なぁ。そうだろ?」

 

そ、そうだっけ?

 

僕の知る限りでは、スラムダンクは完全なるフィクション漫画だ。スラムダンクで登場する高校名にはモデルとなる学校が存在すると聞いたことはあるが、登場人物に関しては実在するなどという話は聞いたことがない。もし本当に実在するのなら、是非会ってみたいものだが。

 

しかし、桜木花道が遠い異国の地に存在していると信じているフィリピン人の夢を壊してしまうのはあまりに忍びない。

 

「よ、よくわからないけど、実在するといいね」

 

なんとかはぐらかし、他の話題に変えた。

 

不得手な英語でだらだらと話していると、今日はカモテス島のどこへいったのかと聞かれ、適当に歩いただけだよと答えると呆れられた。

 

すると、3人組のうち1人がなにか考えるような素振りをみせたあと、

「よし、じゃあ俺が明日1日バイクでカモテス島を案内してやるよ」

と僕を誘ってくれた。

 

レンタバイク代と入場料諸々は僕持ちとのことだったが、そんなことはいっこうにかまわなかった。

 

一人でゆっくり過ごしたかっただろうに、その時間を僕のために費やしてくれるという好意が、ただただ嬉しかった。

 

明日の朝一番の便でダナウへ帰るつもりだったのが、一転、カモテス島満喫ツアーへと変わった。

 

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【カモテス島旅行③】心に沁みる出会いと親切