【ランニング/マラソン】ハートレートモニターの明快な活用方法【GARMINおすすめ】

僕は大学院に所属していたときに5000mで自己ベストを更新しました。この要因として、トレーニング中の心拍数を測ったことで「練習に関する具体的なフィードバック」を得られるようになったことが大きかったと考えています。

そのため友人ランナーにはもれなく 「心拍計付ウォッチを使え!」 と勧めてまわってるのですが、たとえ心拍計のデータを計測しても、データの解釈の仕方を知らなければ宝の持ち腐れとなってしまうことに最近気づきました。

そこで今回は、心拍計の具体的な活かし方について解説します。

 

【心拍数に関する基本的な知識】

まず、心拍数に関して最低限知っておいてほしいことを箇条書きします。

  1. 心拍数は、運動強度に比例する。
  2. 220—年齢=最大心拍数であると言われている(僕の最大心拍数は198拍/分で、年齢は24歳)。実際の最大心拍数は、試合の5000mのラストや、1000~2000mのレペティショントレーニングで現れる。
  3. 練習を積んでいくと、走速度に対する心拍数は下がっていく。
  4. 疲れていると、心拍数は高くなりやすい。
  5. 汗をかき体内の水分量が減ると、心拍数は上がっていく。

ひとまず以上のことを把握しておいてください。暗記するようなことはしなくて大丈夫です。トレーニング毎の心拍計の記録をみていく中で、この内容を見返すようにしてください。

 

トレーニングを積むことで、ランニング中の心拍数はどのように変化するのか?

心拍数と速度の関係グラフ

トレーニングを積み、走力が上がることで走速度に対する心拍数は下がっていきます。例として、僕の心拍数のデータを載せておきます。このグラフは僕が箱根駅伝予選会へ向けてトレーニングを積んでいた時のものです。(が7月、が10月のもの)

10月(つまり、トレーニングを積んだ後)の方が、走速度に対する心拍数が 10 拍/分ほど低くなっているのがわかるでしょうか。このことから、7月から10月にかけて順調にトレーニングを積み、走力が向上していたことがわかります。

自分の走力が上がっていることを客観的データとして確認できるというのは、非常に有益です。「自分の実力がどれくらい上がっているのか」を知ることで、的外れな試合ペースで走ってしまったり、ラストスパートのタイミングを誤るといった失敗を避けることができます。

さらに心拍計はこういった長期的な比較だけでなく、短期的な比較にも活かすことができます。

 

練習の中で、具体的に心拍数をどう活かすか

基本的には、同じ速度で走った時の心拍数は同じなはずです。それにもかかわらず毎日心拍数を記録していくと、同じ速度なのに心拍数が5~10拍/分上下することが少なくない。

この心拍数の差から、あなたの身体のコンディションを推察することができます。

例えば、

「1週間前に行った1000mインターバルと設定タイムは同じなのに、心拍数が5拍くらい低かったな。前回は疲労がたまっていたのかもしれない」

「普段のウォーミングアップのジョグと同じペースで走っているのに、心拍数がちょっと高いな。なんとなく身体も重いし、疲労がたまっているのかもしれない。そういえば、昨日の夜あまりよく寝れなかったんだった」

こんなかんじ。

ランニング歴、マラソン歴が長くなるほど根性論は通用しなくなっていき、自分が積んでいくトレーニングをマネジメントする能力が重要になっていきます。その中で、心拍計は本当に心強いパートナーとなってくれます。

 

「シェフから主婦へ」為末大さんに学ぶ

400mハードルで世界選手権の表彰台に上がった為末大選手の言葉の中で、僕が特に好きなものを引用します。

現役時代、20代前半の頃までは、思いついた最高の練習をすべてこなすことができたのですが、ある年齢を超えると練習をやりすぎると疲れが抜けにくくなり、アキレス腱の痛みが出て、思いっきり跳ぶジャンプ――プライオメトリックといいます――ができなくなった時期がありました。これはバーンと地面を蹴って跳ね返る力を鍛える練習です。痛めたアキレス腱を使わないでジャンプする方法はないだろうかと考えて、ふくらはぎを使わないスクワットジャンプに変えました。これだと足の裏をベタッと着いてジャンプするのでアキレス腱は痛くないんです。もともとの練習の中心要素が分かっていたから、別の練習に置きかえることができたんですね。

僕はこれを「シェフから主婦へ」という言葉で表現していました。シェフは好きな食材を集めて最高の食材で料理できるけど、主婦は残り物も含めた冷蔵庫の中のものでなんとかするしかないのと似ているなと思ったんです。条件が変われば、頑張り方も変わらざるをえません。傍から見れば、それが「手抜き」や「サボり」に見えることもあるかもしれませんが、それは「前と同じ方法では頑張らない」「自分に合わない方法で頑張らない」ということなんだと思います。

 参考  PRESIDENT  Online

年齢を重ねるにつれ、消化できる練習量はどんどん少なくなっていきます。その中で、「自分のこなせる練習の限界はどこにあるのか」を推し量るために心拍計を活用しましょう。

 

心拍計付ランニングウォッチで測れるデータ

ランニングのための心拍計ウォッチを作るメーカーはいくつかありますが、僕はGARMIN社の販売している心拍計をお勧めしています。僕自身、大学院時代はGARMIN社の心拍計を使ってトレーニング時に使っていました。

GARMIN社の心拍計ウォッチはランニング中に何のデータをスクリーンに表示するか3つまで選ぶことができ、またデータをパソコンやスマホでデータを見るためのアプリケーションもシンプルで扱いやすいです。せっかく有益なデータを得られても、そのデータが分かりづらければうまく活かせず宝の持ち腐れとなってしまいかねませんが、GARMIN社のウォッチを使えばそんなことは起こらないでしょう。

ちなみに、スクリーンに表示できるデータもいろいろ選べます。ラップタイムや心拍数など基本的なデータから、「リアルタイムの速度」「平均速度」「ラップタイム内の平均速度」「平均心拍数」などなど。3つに絞るのが難しいくらい。

 

GARMINのアプリで表示したデータの一例

高度、ペース、心拍数のグラフ

これは僕がビルドアップ走を行った時のデータです。 Garmin社の心拍計ウォッチを使うことで、心拍数の推移、GPS機能を使った速度の計測高度、ラップタイムなどを測定することができます。

これだけデータを見やすくしてもらえれば、心拍数とかどう見たらいいのかわからないという人も直感的に理解できると思います。もちろん、見れるデータはこれだけではありません。ラップタイム毎の平均ペースや平均心拍、最大心拍などきになるデータはすべて確認することができ、痒いところに手が届く思いがします。

 

【合わせて記録しておいてほしいデータ、主観的運動強度(RPE)】

また、できれば心拍数と一緒におおよその主観的運動強度もGARMINのアプリのメモ欄に残しておくと、データの深みがより増します。2~3倍くらいの深さにはなるかな。

主観的運動強度とは?

主観的運動強度とは、ある運動に対して自分が感じている精神的なしんどさのことです。

この測定にはボルグスケールと呼ばれるものを使います。

ボルグスケール

0 が一番楽な状態、10 が最もきつい状態を表しており、自分が感じている辛さを自分で数値に置き換える ことで、感覚的な情報を「見える化」します。(表右側のは目安です)

たとえば・・・

 

ある日のウォーミングアップの時のジョグでランニングペースは4分半、心拍数は140拍/分、主観的運動強度は3だった。

その次の日、同じようにウォーミングアップを行った時のジョグではランニングペースは4分半、心拍数は145拍/分、主観的運動強度は4だった。

この場合、次の日に行ったウォーミングアップの方が心拍数、主観的運動強度が共に高く、身体に疲労がたまっていた可能性が高くなります。

 

【ペースと心拍数と RPE から疲労を読み解く!要注意ポイント3つ】

これらのデータをしっかりと見ていけばかなり深く考察を行うことができますが、慣れないうちは以下の3つを注意してみるようにしてください。

  1. ペースに対し、心拍数が高くなっていたら要注意
  2. ペースに対し、RPE が高くなっていたら要注意
  3. 心拍数に対し、RPE が高くなっていたら要注意

もちろんこれが当てはまらないこともあります。僕の経験では、ペースに対する心拍数が明らかに低い時には同様に疲労がたまっている場合がありました。

とにかく言えるのは、「普段の心拍数と明らかに違う時は要注意」ということです。

 

漸増負荷テストで、客観的な実力をグラフに表す!

漸増負荷テストというものを行うことで、ランニングペースあたりの心拍数をグラフで表すことができます。ちょうどこんな感じに↓

心拍数と速度の関係グラフ

定期的に漸増負荷テストを行うことでその時の走力を正確に残し、ある程度期間が経った時に同じテストを行うことで、どれだけ自分が成長しているかを客観的に計ることができます。

漸増負荷テストの方法は以下のとおり。

(例)
4分00秒/kmで 1km走り、その中の最大心拍を計測。
1分休憩。
3分50秒/kmで 1km走り、その中の最大心拍を計測 。
1分休憩。
3分40秒/kmで 1km走り、その中の最大心拍を計測。



限界のペースで 1km 走り、その時の最大心拍数を計測

このような流れでテストを行うことで、上のようなグラフを作ることができます。1本目のペースについては任意で、6~8本目に自分の限界ペースとなるようにしてください。たとえば1000mを3分20秒で走り切るのが精一杯だという人は、 1本目の設定タイムを4分20秒~4分30秒程度に設定します。距離としては1000mでなくても大丈夫です(3~5分程度走るようにするのが目安。それくらいで心拍数が安定するため)。が、走った距離は正確にわかるようにしてください。そうしないとペースに対する心拍数が正確にわからず、価値の低いデータとなってしまいます。

このテストはかなり疲れますので、前後の日はきちんと休み、ポイント練習と置き換えて行うようにしてください。

 

まとめ

柴犬001

多くのランナーは感覚に頼りすぎており、「もっと練習しなければ」「もっと追い込まなければ」 とばかり考え、自分の身体が悲鳴を上げていることに気がつきません。結果として故障したり、 コンディションを崩したり、スランプに陥ります。

心拍数や主観的運動強度を継続して記録していけば、感覚に頼るだけでは気づけなかった「オーバートレーニングの兆候」を客観的データを通して見つけることができ、不調に陥るのをかなりの確率で防げるようになります。

僕のランニング哲学では、「コンディションを良好に保ち続けること」を何より重視しますが、心拍計は、その羅針盤のような役割を果たします。どうぞ、心拍計を今後のトレーニングに最大限役立ててください。

 

p.s.

Twitterの方でも書いたのですが、この記事の内容は本来有料で提供しているものです。この記事の価値を決めるのは僕がではありませんが、少なくともそこらで手に入る情報ではありません。

あなたのランニングライフに役立てていただけたら本望です。

 

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