【経験論vs知識論】長距離選手に生理学の知識は必要?

MOK_ahiru1vs4500
MOK_ahiru1vs4500

 

僕は高校から大学院までの約8年間、青春の大部分を陸上に捧げた。

高校の陸上部は弱小で指導者もいなかったため、選手同士でお互いの「陸上経験論」なるものを持ち寄り練習メニューを決めていた。

 

「生理学とか知らなくても、練習頑張ってりゃ速くなるでしょ?」

 

というのが、当時の僕の考え。
生理学の知識なんてない方がいいとさえ考えていた。

知識ばかりに頼ると肝心な「身体の声」のようなものが聞こえなくなって、コンディショニングに悪影響を及ぼすと思っていた。

 

そんな具合に数年前までは「生理学の知識を学ぶこと」に対して否定的な考えを持っていたのだが、大学三年の終わりから半年間ほど、ある理由から運動生理学について猛烈に勉強する機会があった。

生理学を勉強することになったのにはふか〜〜い理由があるのだが、それについてはまたいつか。。

[adsense]

生理学を勉強した結果…

生理学について勉強する前までは、経験を元に練習メニューを考え、経験を重視することこそが自己ベストへの最短距離だと信じて疑わなかった。
それが、生理学を半年間勉強した後どうなったか。

 

あっさり自己ベストを更新してしまった

MIYAKO92_gakenokeiji20140727500

ほんと、あっさりだった。

歳を重ねるごとに自分の身体のことはよくわかるようになったし、調子の波もある程度掴めるようになった。しかし、経験に頼るだけでは、何か重要な部分を掴みきれないような不安定感も同時に感じていた。

どうもかゆいところに手が届いていないようなもどかしさ、とでも言うのだろうか。

それが生理学を勉強してからというもの、それまでは掴み切れていなかったコンディショニングの「ブラックボックス」だった部分が、手に取るように分かるようになった。練習のマネジメント力が明らかに向上し、身体のコンディションをほぼ正確にコントロールできるようになったのだ。これには本当に驚いた。

 

大学院では練習に割ける時間も限られていたし、練習を続けることができた期間も半年以下だったにもかかわらず、自分でも驚くほどあっさり5000mの自己ベストを更新してしまった。

全く結果が出なかった学部時代はいったい何だったんだ・・。

 

生理学がどう役に立ったのか

Gauges0085_1_S

 

長年陸上(ランニング)を続けている人は分かると思うが、身体のコンディションには波がある。常に調子よく走っていたい・・・といくら願っても、不調という奴は必ずやってくる。

不調の厄介なところは、一旦陥るといつ抜け出せるか分からないところだ。2週間程度で抜け出せることもあれば、半年以上悩まされることもしばしば。

「まるで出口のない真っ暗なトンネルの中を走っているようだ」

と表現されたりするが、まさにそんな感じ。正直、不調のときは陸上辞めたくなる。実際不調から抜け出せずに挫折した人もいるんじゃないだろうか。。

 

僕は特に調子の波が激しいジェットコースター体質だったので、コンディショニングには本当に苦労した。

しかし生理学の知識のおかげで、その波をかなり正確にコントロールできるようになった。

不調に陥るタイミングが分かるようになり、調子の落ち幅を小さく出来るようになったのだ。

具体的には、練習時の心拍数・主観的運動強度等のデータを、生理学の知識を用いてひも解くことにより、自分の体調の異変をいち早く見抜けるようになったのである。

それにより、コンディションを崩さぬよう練習量や練習内容を正確に調節でき、常によいコンディションの中練習を続けることができた。

 

自己ベストの更新に必要なのはコンディションを崩さないことである、ということが僕の持論だ。

生理学は、その考えを強力にサポートしてくれる強い味方となってくれた。

 

だけどやっぱり、経験論も大事

5984240118_b10248289f_z

 

一方で、大学院に入ってから改めて感じたことがある。
それは、自分が日々の練習の中で積み重ねてきた「経験論」にも、生理学の知識と同じくらい、あるいはそれ以上の価値があるということだ。

練習に対する適応には個人差が大きく、例えば同じ練習をしたとしても、その練習に対して身体の反応は選手によって大きく異なる。

ところが生理学というのは個人差をあまり加味しておらず、人間を一様に捉えて身体の仕組みを解説している。

もし健康作りが目的で、フルマラソンを完走できればいい、というくらいのレベルであれば、生理学の知識に目一杯頼ればいいと思う。

しかし、陸上競技のような「1秒を削りだすための」練習をしなければならないなら、やはり“個人差”を考慮する必要があるだろう。

ある程度型が決まっている練習方法を、どうやって自分の身体にアジャストしていくか。

その詰めを行う上で、経験論はなくてはならない。
photo credit: GORE-TEX® Products(CC-BY SA)

まとめ

陸上を1年も続けていれば、自分なりの「経験論」なるものができてくると思う。

その経験論を大切にしつつ、その陸上論を育てるための肥料として、生理学も同時に学ぶ。

これが、自己ベストを更新し続けるためには理想的だ。

 

経験と知識はタイヤの両輪のような関係。片方だけでは完全にコンディションをコントロールすることは難しい。

 

 

また時間がある時に、陸上の中長距離で記録を伸ばすために知っておくべき最低限の生理学を僕なりに厳選し、できるだけ分かりやすいように説明していこうと思います。いつかけるか分かりませんが、気長にお待ちください。

 

①速筋、遅筋、ピンク筋 ←書きました(ピンク筋は触れてないけど・・)

【分かりやす過ぎる生理学】速筋と遅筋の違い

②糖代謝と脂質代謝

③酸化系、解糖系、PCr系 ←書きました

【分かりやすい生理学】ランニング時のエネルギー供給系の関わり合い【無酸素運動、有酸素運動】

④VO2maxと乳酸性作業閾値(LT)

⑤乳酸について

⑥心拍数と主観的運動強度

 

以上、概ね書く予定の内容です。