【カモテス島旅行①】ダナウのトライシクル親子

PIC_5411

先週のマラパスクア旅行でそこそこ痛い目をみたにもかかわらず、すでに次の旅先を考えている自分がいた。

「旅には中毒性がある。旅から帰ってきて日常生活に戻ると、どうも物足りなさを感じるようになっちゃうんだよ。」

旅好きの知人がそう言っていたが、その意味がなんとなく分かった気がした。

 

セブの祝日の関係で再び3連休を得たため、オフィスの英語講師にセブのおすすめスポットを尋ねると、カモテス島へ行くことを勧められた。

聞いたことのない島だったが、セブに長年住むフィリピン人が勧めるのだから、きっと面白い所なのだろう。

ということで、次の旅行はカモテス島へいくことにした。

 

[adsense]

 

寝坊

3連休の初日。

午前のうちに家を出られるよう前日1時にはベッドに入ったのだが、起きたらすでに午後1時をまわっており、太陽は西へ傾きつつあった。

 

またやっちまった。

 

とりあえずシャワーを浴び、洗濯物を干し、昨日書いたブログのアクセス数を確認し、そうこうしているうちに時計は15時をまわり、マラパスクア旅行での教訓をいっさい活かすことなく夕方からカモテス島へと向かった。

なんだか、時間があればあるほどムダ遣いしている気がする。

カモテス島への行き方

カモテス島への行き方は昨日のうちにGoogleで調べていた。

セブシティの北側にあるダナウという港へいき、そこで船の乗り換れば2時間ほどでカモテス島に着けるようだ。

セブシティからダナウへの行き方はいくつかあり、

  • タクシーでダナウまでいく(700ペソ前後かかるが確実、安全、快適、早い)
  • ホワイト・ゴールド・スーパーマーケットへいき、そこからダナウ行きのジプニーに乗り換える(タクシー代含め100ペソちょっとで済むが、少し危険、窮屈、遅い)
  • ノースバスターミナルからバスに乗る(安いし快適だと思われるが、降りる場所を自分で把握する必要がある)

というルートが一般的らしい。

お金に余裕があればタクシーで行ってしまうのが手軽だが、僕にとって700ペソ(1600円)は大金である。

つい先日賃貸の関係で10500ペソ(24000円)吹き飛び、所持金は残り3500ペソ(8000円)となってしまった。今回の旅行は必然的に、この金額内に抑えなくてはならない。

選択の余地はなく、金額が一番安く済むであろうジプニーに乗ってダナウへと向かうことにした。

 

いざダナウへ

家を出た所でタクシーをつかまえ、運転手に「ホワイト・ゴールド・スーパーマーケットへいきたい」と伝えた。

本当はここでもジプニーを使えたらもっと節約になるんだろうけど、どのジプニーがどこへ行くのかよく知らない。それに、80Lのリュックを背負ってあの狭い車内に乗り込むのは忍びない。

 

運転手はすぐに場所を理解し、10分足らずでスーパーマーケットに着いた。(75ペソ=170円)

タクシーを降りた所からダナウ行きのジプニーも簡単に見つけられた。すこぶる順調。

が、問題はここからだった。

ジプニー・ターミナルには”ダナウ”と書かれたジプニーが3~4台停まっていたのだが、乗客らしき人の姿が見当たらない。

運転手や客引きと思われるフィリピン人はいるのだが、彼らはジプニーの中で寝そべりながら、談笑しつつひたすらダラダラしている。なんだか、ザ・フィリピン人ってかんじだ。

おそるおそるジプニー乗り場へと近づき、運転手らしき男にダナウへ行きたい旨を伝えると、運転手(と思われる人たち)は一瞬きょとんとした顔をした後、

まぁ、とりあえず乗っとけよ

と乗客のいないジプニーへと僕を誘導した。この時点で、かなり嫌な予感はしていた。

言われるがままジプニーに乗り込んだものの、運転手はジプニーを走らせるわけでもなく、その場で客引きを始めた。が、そんな都合良くダナウ方面へいきたい人がみつかるはずもない。

客引きの男は通りすがる人へ手当り次第に声をかけまくるが、煙たがられるばかりで誰もジプニーに乗ってこない。当たり前である。

30分ほど不毛な時間を過ごし、ようやくジプニーはダナウへと走り出した。

だが案の定、ジプニーは前に進むことより客をかき集めることに夢中になっており、全然ダナウに向かってくれない。

タクシーならば小1時間で着けるところが、結局僕がダナウに着いたのはターミナルを出た3時間後だった。(ジプニー代35ペソ=80円)

 

ダナウ到着

なにはともあれダナウに着いた。

が、ジプニーから降りた所からは港が見えず、どう向かえばいいかも分からない。

少し不安になったが、すぐそこをあるいていた通行人から港の場所を聞き、10分ほど歩いたところで港を見つけることができた。

さぁ、いよいよカモテス島へ!

 

マラパスクア旅行の再来

意気込み船乗り場の手前までいくと、トライシクル(自転車)の親子に声をかけられた。

 

「今日の船はもうないよ。」

 

・・・。

 

またか。【セブ島滞在記】いざマラパスクアへ

 

ただ、なんとなくそんな気もしていた。港につけてある船は電気が消えているし、そもそもチケット売り場が閉まっている。

仕方ないのでダナウで泊まる宿を探そうと考えていたところ、そのトライシクル親子が1泊500ペソの宿へ案内してくれるという。

この親子はなんだか信用できない臭がムンムンしていたが、他のトライシクルを探すのも面倒だったので、とりあえずその親子のいう宿へ連れて行ってもらうことにした。

父親と思われる男が運転するトライシクルに乗ってトロトロと道を進んでいき、10分ほど走ったところで、宿というよりはただの民家の前に辿り着いた。

 

ダナウの宿

「ここだよ。」

促されるまま家の裏へまわると、民家とは別に小さな小屋があった。どうやら、そこに宿泊客を泊めているらしい。家の前に看板すら構えていないところをみると、トライシクルの誘導以外に集客源はなさそうだ。

あまり期待せずに小屋の中を覗くと、予想外にもエアコン、トイレ、シャワーがついていた。ベッドの質も悪くない。さらに、室内にウォータークーラーが設置してあった。これで1泊500ペソなら、確かに安い。

 

PIC_5434 PIC_5435

他の宿へ行くあてもないし、今夜はここに泊まることにした。

そうこうしているうちに日は沈み、辺りは暗くなっていた。そろそろ晩ご飯でも食べようかなと思っていたら、トライシクル親子が近くの食堂まで連れて行ってくれるという。

ありがたかったが、この親子の親切には、明らかな下心が透けて見える。

 

セブには、単に親切にしてくれる人と、金欲しさに親切を押し付けてくる人がいる。もちろん、注意すべきは後者だ。

僕はまだ完全に見分けることはできないが、後者には一定の特徴がある。

それは、こちらの話をまともに聞かないことだ。言い方をかえれば、会話が成り立たない。

金欲しさに日本人に近寄ってくる奴は、自分の要求を相手に受け入れさせることしか頭にない。そのため、こちらが言うことに対してあまり興味を示さない。

一方で、単に親切にしてくれる人はこちらに一定の興味を持ってくれているので、会話がナチュラルに進行する。また、変な押し付けがましさもない。

 

ダナウの食堂

この親子には悪い方の特徴がばっちり当てはまった。できれば早くこの親子から離れたかったが、周囲に食堂らしき姿は見つけられない。辺りは街灯も少なく、不気味に薄暗い。

土地勘もなく治安もわからない地域を一人でふらふらと歩くのはさすがに危険に思えたので、しかたなく再びこの親子の世話になることになった。

できるだけ値段を安く済ませたかったため、ローカルな所に連れて行ってほしいと頼むと、セブ島では見慣れたバーベキューの野外食堂の前に案内してくれた。

PIC_5428

ここの肉はなかなかおいしかった。

いつも通っているオフィスの近くのバーベキューは一食50ペソ前後と安いが、そこの肉は固くてお世辞にも質がいいとはいえない。

しかし、ここのバーベキューの歯ごたえは日本で食べてきた肉のそれだった。合計で115ペソ(250円)とローカルにしては高めだったが、このお肉になら倍のお金を出してでもまた食べたいと思った。

なんだ、この親子、いいとこ連れてってくれるじゃないか。警戒しすぎだったのかな。

親子は食事の間、食堂の前で僕が食べ終わるのを待っていてくれて、食事の後は宿へと送ってくれた。

 

やっぱりあった、下心

無事宿に着いた。

トライシクル親子に感謝しつつ50ペソ(110円)を払おうとしたところ、その親子は首を横に振った。

「100ペソ払え。」

 

出たよ。やっぱり下心があった。

僕はここのトライシクルの相場を知っている。基本的に、10分前後乗ったときの料金は10ペソ程度のはずだ。

港から宿まで、宿から食堂まで、食堂から宿までの料金と、食堂で僕を待ってくれていた分をあわせて50ペソは妥当な金額だ。どう考えても、100ペソという要求が相場より高いことは明らかだった。

しかし、ひょっとしたらなにか理由があるのかもしれない。もし100ペソを払うべき理由があるなら、僕はその要求に従うべきだ。

僕がなぜ100ペソも払わなければいけないのか親子に尋ねると、予想外な答えが返ってきた。

道中、僕を乗せた父親のトライシクルの後ろを、金魚のフンのように息子がついてきていた。その息子の分も50ペソ払う必要があるから、合わせて100ペソになるんだと、身振り手振りを交えながら一生懸命説明してくれた。

 

意味不明だ。

 

僕を運ぶために、この子どもはなんの役にもたっていない。ただ後ろをついてきていただけだ。

2秒で論破したが、この親子、あまりにもしつこい。

不毛な口論をしているうちになんだか疲れてきて、最終的にポケットに入っていた17ペソを子どもに渡し、もうこれで帰ってくれよといったら、ブツブツと文句を垂れながらようやく帰っていった。

 

はぁ。疲れた。

がめついトライシクル親子とのやり取りにムカつきながら、次からは乗るトライシクルを慎重に選ぶことを心に誓った。

 

[adsense]

 

【カモテス旅行②】不毛な散歩とカモテスの少年

【カモテス旅行③】心に沁みる出会いと親切