本記事の内容を3行にまとめると・・・
- インターバルトレーニングは時間対効果が高く、最も効率的なトレーニングの一つ
- その分負荷が大きいため、やりすぎると逆効果に。用法用量を守ろう
- 中高生は積極的にインターバルトレーニングを!循環器系への負荷が、キミの将来を広げる
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もくじ
本文
ランニング愛好家からトップレベルの陸上選手まで多くのランナーがインターバルトレーニングを行います。
インターバルトレーニングは短時間で高い効果が期待できる練習として知られますが、一方で負荷が大きいために故障やオーバートレーニングに陥るリスクも高く、練習計画への組み込み方についてよく考える必要があります。
そこで今回は、インターバルトレーニングが身体に及ぼす影響について詳しく説明し、暴れ馬のようなこのトレーニングを乗りこなすためにランナーが知っておくべきことをお伝えします。
インターバルトレーニングとは
インターバルトレーニングとは、
- 全力の7〜8割の速度で200〜2000mを走り
- 数十秒〜数分の小休憩(ジョグなど)の後
- 再び同じ距離を同じペースで走る
これを3〜20回繰り返す練習です。
具体的なインターバル走の例
例1)1000m × 5本、設定タイム3分20秒、レストは200mジョグ
例2)200m × 15本、設定タイム35秒、レストは60秒(止まってもよい)
例3)2000m × 3本、設定タイム1~2本目7分、3本目6分50秒、レストは400mウォーク
この例のように疾走距離、疾走速度、本数、休息時間、休息期のジョグの速度などさまざまな要素を目的に合わせて調節でき、内容によってトレーニング効果が変わります。しかし、インターバルトレーニングにはある程度共通する目的・効果があります。
インターバル走の目的
循環器系能力の向上
インターバルは疾走と休息を短いスパンで何度も繰り返すトレーニングです。走速度の変化に伴い心拍数が大きく変動することで循環器系に負荷をかけることができ、心臓の血液拍出量(一度の拍動で放出できる血液量)の増大、活動筋の血管新生(毛細血管が増えること)が生じます。このような練習を繰り返し行うことで、心臓、血管がより陸上向きな”タフ”な状態にカスタマイズされていきます。
活動筋へ送り込むことのできる血流量は持久力を決める重要な因子であることから、インターバルトレーニングは持久力を高めるために効果的なトレーニングといえます。
速筋の遅筋化
基本的に、インターバル走はレースペースかそれ以上の速度で行われます。レースペースでは遅筋に加えて速筋も活発に動員されるため強い刺激が入り、速筋が強化されていきます。
速筋は短距離種目の選手のパフォーマンスを決める重要な筋肉であることは広く知られていますが、実は長距離選手にとっても強化が欠かせません。
ここで、長距離選手にとって速筋の強化とは具体的にどういうものなのかというと、ずばり”速筋の遅筋化”です。
速筋の遅筋化とは、言葉の通り速筋に遅筋のような持久力を持たせることを言います。
速筋は本来持久力の乏しい筋肉として知られますが、(長距離にとって)速いペースでのトレーニングを繰り返すことによって少しずつ持久力が増し、長時間動員しても疲れにくい筋肉に育て上げることができます。これによって、「乳酸性作業閾値の走速度」が向上します。
速筋の遅筋化には「乳酸性作業閾値」以上の負荷が必要となるため、インターバルは速筋を鍛えるために最も適したトレーニングの一つであると言えます。
遅筋の持久力アップ
インターバル走は総じて強度が高く、活動筋は大きなストレスにさらされます。このような強い刺激は、速筋のみでなく遅筋の持久力も向上させることが明らかとなっています。
インターバル走により増大するミトコンドリア含有量(持久力を決める重要な因子)は、ジョグにより増大するミトコンドリア含有量とほぼ等しいという報告もあり、ジョグをしてもインターバルをしても持久力は向上していきます。
一方で、インターバル走とジョグでは得られる効果に明らかな違いがあることは多くのランナーが感じていることでしょう。その違いが何なのかはいまいちはっきりしていませんが、一つの理由としては酵素活性の適応の違いが考えられます。少々専門的な話になりますので、基礎的な内容も含め簡単に説明します。
エネルギー産生を制御する酵素活性は瞬発系、持久系に分けて考えることができます。インターバルトレーニングを行うと瞬発系、持久系の酵素活性に適応が起こりエネルギー産生能力が両方とも向上しますが、ジョグでは持久系の酵素活性のみ向上し、瞬発系エネルギー産生能力は変化しないか、あるいは低下することが先行研究により明らかとなっています。
こういった酵素活性の適応の違いが、持久力の適応の違いとしてあらわれているのではないかと僕は考えています。
この情報だけでは「瞬発系、持久系共に向上させられるインターバルトレーニングの方が、ジョグより優れたトレーニングなのではないか」と考えたくなりますが、一概にそうとも言えない理由があります。
瞬発系のエネルギー産生は糖に依存しますが、体内に蓄えている糖の量は疲労と密接に関わり、この量が減ることで持久系種目の(同じように短距離種目でも)パフォーマンスは低下します。
そのため、マラソンなどの「糖を如何に保存できるか」が重要となる種目の競技力を向上させたい場合には、インターバル走よりジョグの方がより目的に合っている可能性があります。
目的まとめ
インターバルトレーニングは循環器系、遅筋、速筋、各種酵素活性などを幅広く強化することのできる、魔法のようなトレーニングです。一方で長距離選手にとって大切な”糖”を利用する能力も向上させてしまうため、マラソン選手などにはそれほどフィットしたトレーニングではないのかな、というのが僕の考えです。
インターバルトレーニングを発明し、オリンピックの長距離種目で金メダルをかっさらった選手として有名なのはエミール・ザトペックです。彼はマラソンに備えるためのトレーニングとしてインターバルトレーニングを行い、400mを10~80本、様々なペースで行うことによってその実力を伸ばし、1952年のヘルシンキ五輪で長距離三冠(5000m, 10000m, マラソン)に輝きました。この3種目での金メダル獲得を同時に成し遂げた選手は、50年以上経った今もなおザトベックただ一人です。
ザトベックがインターバルトレーニングによってマラソンでの優勝も果たした理由としては、インターバルトレーニングのペースがマラソンペースを意識したものであったことが考えられます。
インターバルトレーニングの負荷が高い理由

photo by Murray Williams(CC-BY SA)
しかしながら、冒頭でも述べたようにインターバルトレーニングは体への負荷が非常に大きいです。
ザトベックが3冠王に輝いた後、彼が行ったインターバルトレーニングは瞬く間に陸上界に知れ渡り、多くの選手がこれを練習に取り入れようと試みました。が、正しい距離、本数、ペース、休息時間を考慮せずに行ったことにより、故障する選手が相次いだそうです。
いったい、なぜインターバルトレーニングはこれほどに負荷が大きいのでしょうか。
その原因として考えられることを、いくつか挙げます。
メカニカルストレスが大きい
走速度が速くなるにしたがい、接地の際身体にかかる衝撃は大きくなっていきます。
これにより、筋肉はより大きなストレスにさらされ、強烈な伸張性収縮(※1)が繰り返されることになります。伸張性収縮のとき、筋肉はサイズの原理(※2)に従わず、遅筋からではなく速筋から優先的に動員されます。この筋力発揮の様式によって瞬間的に大きな力を出すことができ、身体をあらゆる危険から守ることができるのですが、一方で大きな衝撃を速筋のみで受け止めることになるため、筋損傷を起こしやすくなります。
例えば、100kgのバーベルを1人で持ち上げるのと、4人で持ち上げるのとでは、一人にかかる負担は大きく異なることは容易に想像できるかと思います。伸張性収縮の際にはこれと同じように、重いものを少ない人数(筋繊維数)で負担することになるわけです。
インターバルトレーニングでは一般的にレースペースに近い速度で行われるため、必然的にメカニカルストレスが大きくなり、伸張性収縮の程度も大きくなり、これによって筋損傷も生じやすくなります。
※1 伸張性収縮・・・筋肉が引き伸ばされながら筋力発揮を行うこと。
※2 サイズの原理・・・筋力発揮が大きくなるに従い、遅筋に加えて速筋も動員されていくというもの。
ちなみに、メカニカルストレスは路面が固くなるほど大きくなります。地面からの衝撃が大きくなるわけですから、当然ですよね。
僕がトレーニング環境としてコンクリートをお勧めしない理由は、コンクリート上を走ることで不要なメカニカルストレスが生じてしまい、筋肉や腱、骨が不必要に傷ついてしまうためです。
代謝産物による筋肉へのストレスが大きい
インターバルトレーニングは間に休息を挟むことによって身体を酷使するトレーニングです。
これによって骨格筋内では活性酸素などの代謝産物が他のトレーニング以上に産生されることになり、それらが筋肉を破壊します。
血流量の緩急が大きい
インターバルは疾走と休息を短いスパンで何度も繰り返すトレーニングであるため、それに伴って心拍数が激しく上下し、全身を巡る血液量も著しく変化します
こういった血流量の緩急は、心臓を中心とする循環器系に大きな負荷をかけることになります。
内蔵へのストレスが大きい
激しい運動を行うと、血流を活動筋へよりたくさん供給するために、内蔵への血流量が安静時よりすくなくなります。
これによって内蔵は軽い貧血状態となり、貧血のストレスによって内蔵での活性酸素等の産生が増大し、内蔵組織にダメージを与えます。
激しい運動をした後は食欲がなくなったりしますが、その原因の一つとして、こういった理由があるわけです。
インターバルによる疲労からの回復期間

photo by David Goehring(CC-BY SA)
このように、インターバルトレーニングは身体にあらゆるストレスを与えます。
しかも、ひとつひとつのストレスすべてが一級品です。
そんなトレーニングを高頻度で行えば、コンディションが落ちたり怪我をするのは当然。
インターバルによって疲労した身体がもう一度十分に回復するまでには、 少なくとも3〜7日はかかります。
そしてもちろん、その休み方によって回復にかかる日数は変化します。
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インターバルを積極的に行うべき年齢(スキャモンの発達曲線)
一方で、中高生(中高年じゃないよ)はインターバルトレーニングを積極的に行ったほうが、競技力を高めやすいと考えられています。
この考えの根底にあるのが、スキャモンの発達・発育曲線。(上の図参照)
スキャモンの発達・発育曲線によると、中長距離選手のパフォーマンスを決める重要な因子である循環器系は、中高生(思春期)に、特によく発達します。
そしてこの時期に心臓を中心とする循環器系に大きなストレスを与えることによって、循環器系の能力を大きく高められるのではないか、と考えられています。
僕もこの考え方には賛成です。
身長が伸びる成長期に栄養をきちんととった人は、やっぱり背が高くなりますものね。
中高生は、中長距離選手にとってのボーナスステージ
上記した内容をファミコンのスーパーマリオで例えるなら、中高生はコインでいっぱいのボーナスステージにいるようなものです。
インターバルを行えば行うほど、心肺機能は改善されていき、競技力も面白いように伸びていきます。
さらに、中高生は身体の回復も早いため、インターバルを高頻度で行ってもコンディションを維持しやすいという利点も働きます。
マラソンなどの長距離種目で大成している選手には、中高生のときに中距離種目を専門としていた選手が多いそうですが、これはスキャモンの発達・発育曲線に従ってその時期にふさわしいトレーニングを行ったことが関係しているのかもしれませんね。
まとめ
インターバルトレーニングは瞬発系、持久系能力を同時に改善することのできる魔法のようなトレーニングですが、その分あらゆる器官が強いストレスにさらされます。
そのため、インターバルトレーニングを行う頻度は週1回程度に抑えるのが無難であると言えます。
一方で、中高生は循環器系が発達しやすい時期なので、循環器系に大きな負荷のかかるインターバルトレーニングを積極的に行うことで、競技力を伸ばしやすいでしょう。
国内トップアスリートの90%近くがサプリメントを摂取している

参考 我が国のトップアスリートのサプリメント使用状況|国立スポーツ科学センター
国立スポーツ科学センターのデータによると、20歳以上の国内トップアスリートの90%近くが、サプリメントを利用しています。
そして、その目的は「疲労回復」です。

競技力を高めるためにもっとも重要なことは、”疲労回復に着目すること”
トップアスリートがそう認識しているように、疲労回復に着目することは競技力向上にかかせません。
武井壮も疲れるんだなあ、と感じた1日だったけど、オレの特技はそっから誰よりも早く回復することだ。。。鍛えるより治す方が時間がかかるんだからよ。。そこを早めりゃ誰より早く辿り着く。。トレーニングの極意はそこにあるよな。。1番強くなるのは1番速く回復するヤツだ。。勝負は才能じゃねえ!
— 武井壮 (@sosotakei) 2015, 5月 25
では、疲労回復のためになにをすればいいのでしょうか?
僕は、運動直後にリカバリー特化型のプロテインを摂取することが正解だと考えます。
僕から言わせれば、運動直後に糖質・たんぱく質を摂取することはマスト。これをしないというのは、速くなるつもりがないのと同じだ。
練習後に飲むプロテインとしておすすめなのは、リカバリーに特化したもの。
各社さまざまなリカバリープロテインを製造しているが、それらの中で最もコスパに優れるのは、ウィダーのリカバリーパワープロテインだろう。
このプロテインには、練習後に摂取すべき糖質・たんぱく質が十分に含まれている。
他のプロテインと比べて値段も安い。ウィダーの製品ということで、品質も保証されている。
ポイント練習を行う日は、練習場所にリカバリープロテインをザバスプロテインシェーカー (500ml)に入れて持っていこう。
練習後、これに水道水を注いで飲むだけで、運動後に必要な栄養素を素早く摂取することができる。
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